「この映画の趣旨を考えるに、やはりFINALではないと思う」
「その理由は?」
「平成ライダーが全て出るわけではないし、終わった後で平成ライダーそのもののアマゾンズの宣伝が入る。これがFINALとは考えられない」
「じゃあなんだ?」
「うん。そうだなあ。構造的に言うと、最新ライダーであるビルドの相棒と登場最古ライダーであるオーズがいずれも【何かを探し求める者】で、現在進行形の前者は何かを手に入れるが、過去完了形の後者はアンクを失って終わる……という映画なのだろう。その他のキャラは実は割とどうでもいい」
「えー」
「ただフォーゼだけは別で、やはり【より新しいライダー達と友達になるチャンスを作るために、あえてフォーゼは登場させたかった】と思った」
「なるほど」
「しかし、この構成で本当に良かったのかは考えどころ。鎧武みたいな神さまとオーズみたいなただの明日のパンツがあれば良い男が対等に出てくる構成だと、どうしても無理が出てしまう気がする。だから、この映画の鎧武は驚くほど活躍しない。活躍させるとおそらく鎧武だけで決着が付く」
「なんてことだ」
「幽霊と物理学者が共演していいのか。そもそも、月面基地に日常的に行っていた男と物理学者が共演していいのか。医者と幽霊が共演していいのか。いろいろ考えると恐い話もある。まあゴーストは厳密には既に幽霊ではないがな」
「着ぐるみを着てバイクに乗ってしまうと同じに見えてしまうが、設定を考え始めると恐いことになるわけだね」
「そうだな」
「他に何か想はあるかい?」
「キャラが多くて少し混乱した感じはあったかな。展開に少し冗長感はあった。まあ面白いことは面白かったけど」
「それだけ?」
「平行世界で2つの話が平行するのもちょっと分かりにくかった」
「壁以外は同じに見える世界だからね」
「二人の同一人物が合体して、左右非対称のデザインの着ぐるみが左右対称の1つの着ぐるみになるアイデアは良かった。不完全な身体が合体して完全になるわけだね」
「それから?」
「巨大な手。最終的に手だけで巨大ロボにならなかったのも良かった。主役はライダーものね」
「なるほど。XVIIは一回限り許されるネタと」
「あとそれから、エンディングは良かった。エンディング中に誰も席を立たなかったよ」
「あれは最後まで聴きたい内容だったわけだね」